レッスン ~甘い恋の手ほどき~

「華帆、どこに行くんだ?」

「私、悠人さんの事信じます。だから……待ってます。何時かプロポーズしてくれるのを。指輪は、その時にうーんと高いのをおねだりしますから、今日はいりません」

「華帆……」


こんな彼の事を疑うことなんてできやしない。ずっと彼は、私の傍にいてくれる。そして、私もずっと彼の隣に……。



「悠人さん、どうして山中さん?」

「あ、あいつモテるって言っただろ? 山中にもいたんだ。そういう指輪を贈るような相手が。だけど、オタクぶりに破談になっちまった。まぁ、今となってはよかったと思うけどな。あいつには、もっといい理解者が現れるはずだ」

「そうなんですか?」


驚いた。皆いろんな過去があって、それでも踏ん張ってるんだ。


「だけど、指輪ってどこに行けばいいんだ? って聞いたときの、あいつのニタニタした顔。スゲー、ムカついたよ」


その光景を思い浮かべると、何時もは絶対的な尊敬の対象である悠人さんが、子供みたいで何だかおかしい。


けれど、そういうところが、あの部の良さでもあると思う。
山中さんにも、きっと素敵な人が現れるに違いない。



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