レッスン ~甘い恋の手ほどき~


こんなことまでしてもらっておいて、なんでもないなんて言えない。

だけど、何からどうやって話していいのか、頭の中があの女の裸体で埋め尽くされてしまって、上手く機能してくれない。



「私……ダメな女なんです」

「ダメって? 僕がスカウトしてるじゃないですか?」



隣に座った彼は、少し驚いた顔をして、私の顔を覗き込む。

そうじゃない――
そうじゃないの。



「できないんです……」

「何、が?」

「――セックス」



その言葉を口にしてしまった後、本当に惨めになって、手で顔を覆ってしまった。


こんなこと、深谷さんに言ったって、困るだけじゃない。
分かってる、分かってるけど、もう一人で抱えられない。




< 67 / 253 >

この作品をシェア

pagetop