Tricksters2ッ


「淳一、はやくしろよ。お味噌汁冷めちゃうだろ!」


 シャワーを浴びてタオルを肩にかけた。

 なんでゼンと三人で朝食をとらなきゃなんねーんだよ? と首をひねりながら箸をとる。


「いただきます」


 李花が焼いてくれたアジの開き、ワカメの味噌汁、それに炊き立てご飯に納豆。

 定番の朝食だ。


「珍しいなー! 朝からアジと納豆!」

「だから……お前さあ、日本人じゃねーのかよ!」


 アイツは、目をキラキラさせながら李花の作った朝食を平らげる。李花も嬉しそうだ。俺は食欲がなかったけど、李花を喜ばせたい一心で口の中にかきこむ。


『シャパシャパシャパネット~♪

 朝からウザイと思わないでくださいねー!通勤前の三分テレビショッピングの時間でーす』



 でた! シャパネットガタガタ!


 朝からやってんのかよ! 商売根性すげーな。

 でも、うちの会社も相当世話になってるしな。最近このウザイ歌を聞いても、舌打ちはしなくなった。


「シャパネットだー。じゅんちゃん、また新しい商品だしたの?」

「ああ、あれっ?」

 違うな、びっくりっぱこの販売開始日は今日じゃねーし。

 だとすると最近までご好評いただいてた、びっくりんぐか?

 普通の指輪に見えて、ヘルスメーターになっている指輪だ(手品グッズじゃねーだろ)。

 一日に食べたカロリーが少ないと綺麗なブルーで、カロリーオーバーすると赤に変色する。指の微妙な皮脂成分でカロリー判定する。特許までとった。


『アナタのお腹に赤信号!』がキャッチフレーズになって、世のダイエッターがこぞって買い漁ってくれた。

 おかげで、今年の社員旅行はハワイだってゼンが言っていた。

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