片想

誰かがアタシの右腕をきつく掴んだ。

だれっ?




宮垣…くん…?

「危ないっ!」

大きな声で怒鳴る。


そしてただ驚く顔をするアタシに彼は一息ついて言った。

「ここから飛び込みそうだった」


まっすぐにアタシを見つめる彼の瞳。

ああ、そっか。


そのときアタシは。

初めて理解した。

このひとの瞳が怖かったのはこうしてアタシをまっすぐに見るから。

あまりにもまっすぐに正直に。




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