泣かない家族

願い


母の外出は11月20日に決まった。


母にはまだ告げてはいない。


いつどうなってもおかしくないから。



見舞客が折っていった千羽鶴を紙袋の中に入れて帰りの支度をした。


母は眠っていた。


今日はあたし1人だけが残っていて時刻は9時を過ぎていた。


母の余命宣告を受けてから面会時間なんて関係ない。

来るのも帰るのも自由だった。



「あら、娘さん帰るの?」


看護士に言われて「はい」と言うと、


「泊まればいいのに。簡易ベッド用意するわよ?」


と言われて初めて付き添いが出来る事を知った。



「今日は帰ります。付き添い出来るなら明日からでもって考えてるので簡易ベッド貸して下さい」


看護士にお願いして、テーブルの上のゴミを片付けた。

< 130 / 203 >

この作品をシェア

pagetop