泣かない家族

あたしの本名は『ハルナ』という。

父が付けた名前。

母の希望は「○○ちゃん」と親しみを込めて呼ばれる様な名前だったという。


あたしのあだ名は『ハル』。


親しみの「〜ちゃん」はあまりないけれど、呼びやすいらしい。

だから、この作品ではあたしを表記する時は「ハル」にする。


人見知りが激しくて母にしか懐かず、父が抱き上げてると泣き出した母を大好きなあたしだったけど、思春期を迎えると「反抗期」が当たり前の様にあり、母とよく喧嘩をした。

それは大人になっても続いた。

まるで戦争の様にあたし達は大喧嘩をしていた。


特に目立った反抗期もなくのんびりと育った兄「ユウヤ」と比べると、あたしは相当手のかかるガキだった。


高校生になると益々ヒートアップして、真面目に服を着せた様な母を反面教師にする様にあたしは成長していた。


中学の頃から化粧をし始め、高校に上がると同時にタバコを吸い出し、自分で何個もピアスの穴を開けた。


兄も両親もタバコを吸っているんだから別にいいじゃん、あたしの言い分はいつもそうだった。

制服のまま、学校帰りにくわえタバコで歩いて補導をされた事も何度もあった。

幸い学校に届けを出された事はないけど、警察や補導員は家に電話をかけ、


「娘さんに反省の色は見当たらない」


そういつも言われたとこぼしていた。


怒られる度にあたしが言う言い分はこうだった。


「あんただってピアスしてるしタバコを吸ってるじゃん」


母は決まってこう言い返す。


「お母さんは成人してからだから!何でこんな子供になったのよ!」


どうだかね、あたしはいつも思っていた。

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