フルスロットルラブ

あの大きな背中が愛しかった。


あの力強い腕に抱き締められたかった。


そして強く思い合う2人の気持ちが何よりも羨ましかった。


彼が見つめるその先に私が居ない事が切なくて。


だけど、彼と彼女の幸せを願う気持ちも大きくて。


そんな風に持て余す自分の気持ちが一番苦しかった。


結局のところ5年間も望みの無い恋を捨てられなかったのは、

2人のハッピーエンドを見届けたかったからなのか、それとも強く想い合う2人の気持ちに憧れていただけなのか、

最後には分からなくなった…。


でも、もう分からなくても良いんだ。


私の5年越しの片思いは、

秋津君の恋が成就した事で、

確かに終わったのだから。


それでもやっぱり心は痛むのだけれど。

< 4 / 108 >

この作品をシェア

pagetop