灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~



だけど願わずにはいれないの……
きっとこれが、人として生きる
最後の感情。
どんな色でも、どんな形でも、
人は最後に「幸せの在り方」を
望んでしまう。



今さら後悔なんてしても遅いのに……。



『郷田………。』



か細い声で呼んだ名前。



隣に並ぶ優しい灰色の瞳。



いつだってあたしを見ていてくれた。
激しく吠えるあたしを優しく
包んでくれた。
どんなに離れても、結局その手を
掴んでしまう。



求めてしまう。
愛してしまう。
逃れられない現実を繰り返す。



だけどもう終わりにしようと思う。



あたしは郷田と自分自身を解放して
あげたいの。
ううん、解放すべきなんだ。
こんなことはもう続けられないから。



だから許して。





『自首、しようと思う。』










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