スターの結婚
大介から車の鍵をもらった公平はテレビ局内の駐車場をとぼとぼと歩いていた。


「公平さん!」


背後から声がし、振り向くと葵が立っていた。


「おお!こんなとこで何してるの?」


「マネージャー待ちです。笑 車の鍵もらうの忘れちゃって...」


「葵ちゃんて結構抜けてるとこあるよね。笑 寒いっしょ?これ貸してあげるよ。」


公平は着ていたパーカーを葵の肩にかけた。


....


しかし葵の目からは涙が溢れていた。


「どうして...どうして公平さんて悠果里さんがいるのに私に優しくするんですか?」


公平は葵が泣いている理由がわからなく混乱中。


「どうして?って...病人に気遣うのは人間として当たり前で...その...」


分けがわからなくなっている公平は自分が何を言っているのかもわからない状態。


「私、公平さんのこと好きです。悠果里さんと付き合ってること知ってるし言わないでおこうと思ったんですけど、やっぱ自分にウソつけなくて...ごめんなさい!」


そう言って葵は公平に抱きついた。


ますます自分が追い込まれている理由がわからない公平はされるがままだ。


「あの...葵ちゃん、絶対熱高いって!ちゃんと病院行きなよ!笑...アハハ〜笑」


公平は葵を引き離すと車のほうに走った。


そんな公平を悲しさと愛しさが入り混じった眼差しで追う葵。
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