ガリ勉くんに愛の手を
「この人、痴漢~!!」


(…え?!)


いきなり女子高生が僕の手を持ち上げ大きな声で叫んだ。

周りの人すべてがこの手に注目している。


「ぼ、僕、ち、違います!」


周りの冷たい目線。

必死で抵抗し、首を横に振るが誰も助けてくれない。

思いもよらぬ事態が起きた。

僕は痴漢容疑をかけられたのだ。


誰が通報したのか駅員が走ってくる。

そして僕は、その場で取り押さえられ、あっと言う間に駅長室へと連れて行かれた。


被害者である女子高生のみゆき、痴漢を目撃したとユリも一緒について来た。


みゆきは駅長に車内で起きた詳しい事情を必死で説明している。


それを目撃したユリがみゆきをかばうように証言する。

二人ともあかの他人と言う事らしい。


(どうしてこんなウソをつくんだろう…)

知らぬ間に犯人にされ、弁解もさせてもらえない。

被害者のみゆきは涙を流しながら訴えている。

(僕の方が泣きたいよ。
 ママ、助けて……)
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