ガリ勉くんに愛の手を
バタンッ。


その時、駅長室のドアが開いた。

「ちょっと、失礼!」

みんなが入口に目をやった。

勢いよく入って来たのは17~18歳ぐらいの若い女。

見るからに今時、流行のファッションなのか??
顔は黒く、髪は茶髪、耳や鼻にピアス、チャラチャラした格好。


一体何者?!


「どちら様ですか?」

駅長が尋ねた。

「うち、この子らと同じ電車乗っててん。
そっちのメガネ猿がうちの席の横に立ってたわ。」


メガネ猿???

僕の事?

格好だけじゃなく…
口も悪い。

その女はみゆきを指さし、

「あんた、ホンマにこのメガネ猿に触られたん?」


みゆきはいきなり突っ込まれ、少々動揺したが表情を変えずにこう答えた。


「そう…やけど…

うちがウソついてるって言うの?!」

みゆきは声を荒げて反論した。

「ちゃんと証人もいるんやで!」


「ふ~ん。駅長さんこの子らを信用したらあかんで。
この二人グルやから。」


「え?!
どういう事ですか?!」 

駅長は困惑した表情で聞き返した。

「うち、この二人と乗った駅も一緒やってん。

あんたら電車待ってる時、ホームで仲良くしゃべってたやんか。

おやじ狩りするって…」



(マズイ。あの時後ろにいてたんや…)

さすがのみゆきもさっきの会話を聞かれていたんじゃウソがバレてしまう。

でも今さらウソをついた事を認める訳に行かない。

(落ち着け、みゆき。
あんなヤツの言う事なんか誰も信じる訳ない。)

みゆきは覚悟を決めた。
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