ガリ勉くんに愛の手を
―2日後

佐奈は、もうあのプレゼントの事は怒っていないようで今日は特に機嫌が良い。

またまたカウンターからおじさんが目で合図を送っている。

(よし、今度こそ!)

洗い物をしている佐奈に近づく。

「あの、佐奈さん。」

「何?」

「えーっと、今度の日曜日お昼に時間ありますか?」

「日曜日?そうやな。
昼のバイトは休みやけど、なんで?」

(チャンス!)

「あの~、もし良かったら一緒に映画でも見に行きませんか?」

「映画?」

(それって、うちをデートに誘ってるん?)

佐奈は少し照れているようだ。

「別に予定ないから行ってもいいよ。」

(や、やった~!
今度こそ成功だ。)

「どんな映画?」

「はい、[ラスト・ラブ]です。」

「それって恋愛モノ?」

「はい。」

「じゃ、いらんわ。」

「どうして?」

「うちは、アクションか、ホラーか、喜劇しか見やんから。
ラブストーリーは大っ嫌いいやねん!
こんなん見たら寒気するわ。」

(そんなぁ…)

あっさり断られてまた作戦失敗だ。

(おっちゃん、もうダメかも…)

カウンターでおじさんは僕から目をそらした。
< 182 / 401 >

この作品をシェア

pagetop