ガリ勉くんに愛の手を

～佐奈の気持ち⑤～

あれからすぐ健二と別れて帰ってきた。

あのままあそこにいてたら、自分が自分でなくなりそうで…

（まさか、健二があんな事を言うなんて…）

まだ胸がときめいてる。


懐かしい匂い…

ほんのり苦いたばこの味がした健二のキス。

昔のままや。

健二の事、もう忘れたはずやった。

あんなに涙を流して、
あんなに苦しんで、
あんなに辛い思いをして、
やっと乗り越えられた。

そう思ってたのに……

あの一瞬で気持ちが戻るなんて自分でも信じられへん。

健二は前よりもっともっとカッコよくなって…

うちの手の届けへん所に行ってしまった。

そんな健二が今日うちの目の前に現れた。

うちの事、今でも好きやって言ってくれた。

そして、昔のように力強く抱きしめ、キスをしてくれた。

あかん！

うち何を考えてるんやろう？