ガリ勉くんに愛の手を
(はっ?!)

「どうした?佐奈。」

「ううん、別に…。」

― 新幹線の中。

向かえ合わせに座る健二と佐奈。

隣りには、マネージャとスタイリストも一緒に乗っている。

(今、声が聞こえた?
ような気がしたけど…)

空耳?たぶん…

出発のベルが鳴る。

佐奈は、窓から大阪の最後の姿を眺めていた。

(もう帰ってくる事はないやろう…。

さようなら、大阪…
さようなら、ミナミ…
さようなら、おっちゃん。

さようなら…
    …ベン。

佐奈の別れの挨拶と共に新幹線は走り出した。

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