ガリ勉くんに愛の手を
その時、

「ベン…?」

その声は…

「お、おっちゃん!」

「ベン!よー来たな。」

僕の姿を見かけて表に出て来てくれた。

「お、おっちゃんゴメンなさい。
僕…自分勝手で…」

おじさんはそんな僕をグッと抱きしめてくれた。

「何言うてんねん!?
待ってたんやで。

おっちゃん、寂しかったんやで。」


「お、おっちゃん、僕…
僕だって、会いたかったよ!

本当は…ずっと…」

二人は、周りの事など全く気にせず、がっちりと抱き合った。

「あ、あの…ちょっと、俺はどうなるの?」

満男がその横で訳もわからず、ポツリとたたずんでいた。

久しぶりのたこ焼き。

「やっぱり、おっちゃんのたこ焼きは最高~!」

「そうか!ベンにそう言うてもらえるだけでおっちゃんはうれしいわ。」

「大げさな!ハッハッハ…」

こんな爽快な気分は本当に久しぶりだ。

僕は、なぜ今まで我慢していたんだろう?

ここには、まだ佐奈の匂いが残っている。

(やっぱり、簡単には忘れられそうにないな。)

11時が過ぎ、満男が先に帰って行った。

「おっちゃん、今日泊まってもいいですか?」

「ベン…当たり前や!

お前のセカンドハウスやと思ってくれたらええねん。
積る話もあるしな。」

「はい。」

男同士ってやっぱりいいもんだ。
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