ガリ勉くんに愛の手を
(健二さんはどこ?
確か、ここのお店を予約していたはず…)


一番、奥の夜景がきれいなテーブルにいい雰囲気のカップルが食事をしていた。

(あ、あそこだ!間違いない。)

できるだけバレないように佐奈を後ろ向きに座らせた。

(どれどれ。)

佐奈がメニューを見て目を丸くした。

(な、何?!めちゃめちゃ高いやん?!)

「どうしたんですか?佐奈さん。」

「え?ああ、うーん。」

まりは小声で…

「値段の事は気にしなくていいですよ。
健二さんのカード持ってるから。」

「えっ?!健二のお金使うの?」

「当たり前じゃないですか?

健二さんが使って良いって言ってるんだから。」

(なんか気が引けるわ。)

来てしまったものは仕方がない。

佐奈は遠慮して一番安いコースを頼んだ。

「お待たせいたしました。」

(うゎっ、すごい料理。)

初めて見る料理に思わず感動してしまった。

二人はしばらく無言で料理に食らいついた。

まりは食べながら奥の席をちらちら気にしていた。

佐奈はそれに全く気付く事はなかった。

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