ガリ勉くんに愛の手を
「ベン、ホンマに辞めるんか?」

「おっちゃん、ごめんなさい。どうしてもやりたい事があって…」

寂しそうな顔をしているおじさんを見ると本当に辛い。

「仕方ないな。
お前が決めた事やったら…」

(なんか、前にも同じセリフを言うたような気がする。)

「いつか必ず戻ってきますから。」

「ホンマやな?!絶対戻ってこいよ。
戻って来えへんかったら…
ヒック…ヒック…」

「おっちゃん。泣かないでくださいよ。
僕まで泣きそうになる…」

これ以上いると別れが辛くなるだけだ。

「おっちゃん、元気で!」

「ベーン、達者でな~!」

(なんか時代劇みたい…)

おじさんには本当にお世話になった。

いつかこの恩は絶対返す。

(待っててね、おっちゃん。)

別れの挨拶をした後、僕はあゆ美と一緒に新幹線に乗り込んだ。

目指すは東京!

あゆ美に無理やり連れて来られたんじゃない。

僕が自分で決めたんだ。

出発のベルが鳴り電車がゆっくりと走り出した。

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