ガリ勉くんに愛の手を

「いらっしゃい。」

ドアが開いてちあきが出てきた。

そしてまっ先にあゆ美の横に立っている僕に目をやった。

「つ、勉君？！」

ちあきの驚き様は普通ではなかった。

（この子…
信じられないわ。）

ちあきの目がギラギラと輝いている。

「さぁ、どうぞ中に入って。」

あゆ美と僕はちあきに案内され、リビングへと入って行った。

（うわぁ～、広い！
こんな所に一人で住んでいるのかな？）

４ＬＤＫのかなり広い間取り。

「今日はお疲れ様。
夕食用意しといたから一緒に食べましょ。」

「うわ～、これ全部ちあきが用意したの？」

「もちろん。こう見えても昔から料理は得意なのよ。」

１日中歩き回ったせいか、お腹が急に鳴り出した。

「さぁ早く座って。」

僕とあゆ美は挨拶もなしで料理に食いついた。

「うん、おいしい！」

あゆ美が声を出して喜んだ。

二人は大学時代の思い出を楽しそうに語りながら、大いに盛り上がっている。

「でも、本当に驚いた。
勉君がここまで変身するとわね。
やっぱりあゆ美はすごい！」

「あんまり褒めないでよ。照れるじゃない。」

二人はいつしかお酒が入って陽気になってきた。

さっきからちあきが僕の方をうつろな目でちらちらと見ている気がする。

気のせい…？