ガリ勉くんに愛の手を
佐奈もその視線にただならぬ気配を感じた。

「帰る途中にちょうど、知り合いがいて…」

「知り合い?」

さっきの顔つきとは全く違う。

まるで別人のような優しい笑顔で佐奈に挨拶をした。

「だれ?」

佐奈が無愛想に聞く。

「ああ、同じ塾生の小林真理亜さん。」

「はじめまして、小林真理亜です。」

見るからに良いとこのお嬢さんだ。

でも…

(小林…真理亜?)

僕と真理亜が親しそうに話している間、佐奈はずっと何か考え込んでいるようだった。

(どっかで聞いた…名前…)

そうつぶやきながら徐々に佐奈の表情が青ざめて行った。

思い出したくない記憶…

佐奈の中でその名前が完全によみがえったのだ。

(真理亜…!)
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