ガリ勉くんに愛の手を
この状況から色々と推測してみた。

でもどう考えてもやっぱり佐奈が勘違いをしてるとしか思えない。

塾のマドンナである真理亜がそんな事をするなんて誰も信じないだろう。

「佐奈さん、真理亜さんはそんな事をする人じゃないと思うんだ。
何かの間違いじゃないかな。」

優しい言葉で佐奈の気持ちを必死でなだめようとしたが、

「…ベン、うちよりその子を信用するの?!」

「いや、そ、そんなんじゃないよ。
あの事は早く忘れた方が佐奈さんの為だと思って。

結果的に、大丈夫だったんだし……」

「結果的?…大丈夫?」

話の流れでつい出てしまった一言が、

(ベン…そんな風に思ってたん?)

その瞬間、佐奈の心の糸が1本切れてしまった。

「ハハッ、そうやな。うちみたいな遊び人にはあれぐらい大した事ないよな。」

「誤解しないで。そういう意味じゃないよ。
佐奈さんの体が守られたから…」

言葉をさえぎるかのように佐奈が怒りをぶつける。

「最後までいかんかったら守れたって言うの?!

男二人に抑えこまれて服引きちぎられて、胸もまれて、下着に手つっ込まれて、それで…平気やと思う?!」

「ごめん。僕そんなつもりじゃ……」

「もうええわ。やっぱりベンとうちとは住む世界も、考え方も違うし、合えへんねん!
あんたには、その真理亜ちゃんがお似合いや!」

「佐奈さんっ!」

佐奈の悲しい目…

僕は彼女をもっと傷つけてしまった。

(この女の前では絶対涙は見せたくない。)

「さようなら!」

佐奈はあふれる涙をこらえて走り出した。
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