ガリ勉くんに愛の手を
その時だった。

[ピンポーン!]

玄関のチャイムの音。

二人はびっくりして飛び上がった。

(だ、誰か来た。)

真理亜はくやしそうな顔をして乱れた服を元に戻した。

何回もチャイムが鳴り続ける。

真理亜は僕を気にしながら玄関へと降りて行った。

やっと我に返った僕。

(取り返しのつかない事をするところだった。)

額には大量の冷汗が……

脱ぎかけた服を元に戻し、帰り支度を急いだ。

「いたっ!」

下半身に異変が…?

これは自然現象だ。

カバンで隠しながら、不自然な格好で階段をかけ降りた。

玄関先で真理亜と母が立ち話をしていた。

「あら、お客様?」

「え、ああ…そう…」

真理亜自身、突然の事でしどろもどろになっている。

僕は二人の間を通り抜けてそのまま飛び出して行った。

「勉く~ん。」

真理亜が呼んでも、僕は振り向かなかった。

その後、母は真理亜にこの状況を厳しく追及されたようだ。
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