誓~天才演技者達の恋~


由梨と賢斗、卓也は大急ぎで、舞台の準備をしていた。

何でも、トップバッターの主役が倒れ、棄権するというのだ。

急いで化粧をして、最後にセリフを確認する。


「ちょっと!トップの美術道具、どかしてないんだけど?」


美術スタッフが舞台裏で叫んだ。

他のスタッフから戸惑いの声があがる。

本番まで残り5分。

今から総出で片付けても、間に合わない。


「大丈夫です。片付ける必要はありません」


由梨は振り返る。

そこには、白いワンピースを着た女が立っていた。


「部外者が何「部外者ではありません」


スタッフの言葉を遮って、舞台袖まで歩く。

賢斗は目を見開き、卓也は小さく「Yuria?」と呟いた。

彼女の周りには、スタッフが囲み、化粧やらなにやらを施す。

由梨は彼女の傍まで行くと、彼女の目の前に立った。


「あんた何様のつもり!?部外者が....」

「確かに、この学園と私は部外者です。でも、演技者という繋がりはあります」

「はぁ!?」


{Yuria,「こんな私でも、綺麗になれますか?」}


由梨の中に突然、あのCMが浮かんだ。

「まさか」と呟くと、卓也と視線を合わせる。


「今日、マスコミに言うつもりだったので問題ありません。
私は新人女優のYuriaです」

「!!!!!!!!!」


周りの空気が、凍りつく。

ただ賢斗と卓也だけが、冷静な笑みを浮かべていた。


「私、Yuriaにやらせてください!!」


ユリアは頭を下げると、横で卓也も頭を下げていた。

ユリアは驚きながらも、頼み込む。


「こいつの演技は、面白いぜ、掛けてみようじゃねぇーか」

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