誓~天才演技者達の恋~


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「みなさんはじめまして。
美星堂の新CMに出させていただいている、菊花プロダクションのYuriaです」


カメラのフラッシュがユリアに浴びせられる。

香織の横に座るユリアは、誰もが恋におちるような笑みで座っていた。


「私は隣にいる菊花社長こと、菊花香織の一人娘です。それ以上は答えられません」


デビューの経緯とその一言で、会見は終わろうとしていた。

もちろん記者たちは、プロフィール等の質問をするが、香織の一言で終わらせられる。


「今回は、プライベート的、プロフィールなどの質問には、お答えできません」


ユリアは頭を下げる。

記者たちは最後にと付け足すが、どれも駄目だった。


「せめて、歳だけは...教えていただきますか?」


ユリアと香織は顔を見合わせて、ユリアは頷く。


「今は中3です」

「ってことは、今注目の3人と同じなんですね!?」


はい。というと、ユリアは記者たちの前から消えた。

記者たちは、明らかにされていないプロフィールが気になったが、名前だけ公開されたのは、まだマシなほうだった。


「ユリア、お疲れ様」

「香織さん...今日はごめんなさい。勝手な行動をして」


香織はユリアを抱きしめると「いいのよ」と言う。

香織は何も言わずに、自分の車に乗ってしまった。


「香織...さん?」


ユリアはもっと香織に怒られると思っていた。

なのに、香織は柔らかな笑みで、ユリアを抱きしめた。


「ユリアさん、帰りましょう。
もう映画やドラマの話...あるんですよ?」


和人の言葉に頷くユリア。

ユリアの人気は、この日から爆発的になった。

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