誓~天才演技者達の恋~
「おぉ!勝気なお嬢様って感じだ」
卓也がスタジオ裏に戻ってくる間、ユリアは衣装と化粧を済ませていた。
もうすでに役に入りきっている。
瞳は何処か寂しげで冷たげで...。
なんだか抱きしめたくなる姿だった。
「おぉ!卓也もやるなぁー!!」
卓也は、黒のストライプスーツに身を包み、ユリアの横につく。
二人は役に入りきっていて、スタッフは撮影の最終準備に取り掛かっていた。
「最初にポスター撮りいきます!]
卓也とYuriaは唇を近づける。
スタッフは、目をまん丸にして師羅監督に聞く。
「キスは、CM内じゃないんですか?」
「まぁまぁ、二人には二人の世界があるんだろう」
ユリアは卓也の首に手を回し、卓也はユリアの腰に手を回し、ギュと抱きしめる。
黒いドレスのレース部分が、人工の風によってひらひら靡く。
「凄い...まるで本物のカップルみたい」
「そうだった..」
「えっ!?」
「いや....」
スタッフの言葉に、意味深な答えを出す師羅。
師羅は誤魔化すために「ok!!」と叫んだ。
「キスだけの画でいいんですか?」
「キスまでされて、抱き合いでいい...は悲しいだろう?」
師羅の言葉に、ユリアと卓也は微笑む。
師羅は卓也の笑顔を見て、内心は感動していた。
「さすが百合亜だな」
「えっ?!」
「さすがYuriaと卓也だよ。撮影が早く終わりそうだ」
師羅はそう言うと、メガホンを持つ。
Yuriaと卓也は役に入りきると、カメラの前に立った。