誓~天才演技者達の恋~


「おぉ!勝気なお嬢様って感じだ」


卓也がスタジオ裏に戻ってくる間、ユリアは衣装と化粧を済ませていた。

もうすでに役に入りきっている。

瞳は何処か寂しげで冷たげで...。

なんだか抱きしめたくなる姿だった。


「おぉ!卓也もやるなぁー!!」


卓也は、黒のストライプスーツに身を包み、ユリアの横につく。

二人は役に入りきっていて、スタッフは撮影の最終準備に取り掛かっていた。


「最初にポスター撮りいきます!]


卓也とYuriaは唇を近づける。

スタッフは、目をまん丸にして師羅監督に聞く。


「キスは、CM内じゃないんですか?」

「まぁまぁ、二人には二人の世界があるんだろう」


ユリアは卓也の首に手を回し、卓也はユリアの腰に手を回し、ギュと抱きしめる。

黒いドレスのレース部分が、人工の風によってひらひら靡く。


「凄い...まるで本物のカップルみたい」

「そうだった..」

「えっ!?」

「いや....」


スタッフの言葉に、意味深な答えを出す師羅。

師羅は誤魔化すために「ok!!」と叫んだ。


「キスだけの画でいいんですか?」

「キスまでされて、抱き合いでいい...は悲しいだろう?」


師羅の言葉に、ユリアと卓也は微笑む。

師羅は卓也の笑顔を見て、内心は感動していた。


「さすが百合亜だな」

「えっ?!」

「さすがYuriaと卓也だよ。撮影が早く終わりそうだ」


師羅はそう言うと、メガホンを持つ。

Yuriaと卓也は役に入りきると、カメラの前に立った。

< 133 / 252 >

この作品をシェア

pagetop