誓~天才演技者達の恋~
どうしよう。
ユリアは心で呟いて、辺りを見回す。
「方向オンチに地図なんか、渡さないでよぉー」
ユリアは神かかった方向オンチ。
見事に迷った。
「携帯!そうよ、携帯で」
ユリアが携帯に電源を入れる。
パッと笑顔になったユリアと、携帯の画面。
しかし、すぐに望みは消える。
「充電してください!?」
ピッピッと6回ほど鳴ると、携帯は電源を落とした。
何回やっても携帯の電源は入らない。
「嘘ッ!冗談!!」
ユリアは携帯をゴミ箱に捨てる。
使い物にならないモノなどいらない!と叫びながら。
「第一、ここはドコ?ずいぶん歩いたハズ..」
電車にワケも分からず乗って、歩いて...。
その繰り返し。
「チャリングクロス駅?」
人の賑わいも激しく、建物もゴージャスといえる駅。
ユリアはいつの間にか、チャリングクロス駅に到着していた。
かなり歩いたらしく、足はボロボロ。
飛行機で体調を悪くしたことを、忘れてしまっていた。
「ロンドンって、建物が凄い...」
ユリアはとりあえず、地図に従っているように歩く。
チャリング駅というのは、どうやら合っているみたいだ。
「ザ・シャーロック・ホームズ?」
紙に書かれた名前と、この目の前の店は一致する。
がしかし、どうみてもこれは...。
「ホテルじゃ..ないわよね?」