誓~天才演技者達の恋~
痩せた天才の心
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「ユリア!?そんな身体で、演技祭に出ると言うの?」
ユリアは、病室の中で台本を握り締めていた。
香織はため息交じりに、ユリアの身体を抱きしめる。
「こんなに細くなって...大丈夫なの?」
「大丈夫ですよ。香織さん。私には演技しか無いんです」
土居朱美の言葉は忘れ、今まで通りに戻ったハズだった。
なのに何故か、ユリアの喉には食事は通らず、日に日に身体は細くなっていく。
今は、高校二年生の女子の基準以下だ。
だいたい小学生の高学年くらいの体重で、香織でもスッと持ち上がる。
「ユリア...」
「泣きそうな顔、しないでください。
私は大丈夫ですから......本当に」
ユリアはニコリと笑うと、演技を続ける。
途中、ユリアはめまいを感じたが、香織にばれないように、足にグッと力を入れる。
医者...咲子が言うには、精神的な話らしい。
“拒食症”に近い症状になっているユリア。
咲子の話では“記憶が戻るまで、このままかも知れない”とのことだった。
香織は、キラキラと輝きながら演技をするユリアを見て、ある意味尊敬した。
「誰よりも孤独で、辛いはずなのに...強いわね」
{Yuria,「さよなら...?そんなことを言うのですか!?」}
香織はユリアの病室から出ると、ため息をついた。
「香織さん」
「成見先生」
咲子は相変わらずのポニーテールで、周りの男性を振り向かせている美貌。
咲子の横には、早坂涼介もいた。
「はじめまして。外科医の早坂涼介と申します。」
「あぁ、はじめまして」
香織はお辞儀をすると、不思議そうに涼介を見つめた。
その視線に気がついた涼介は、重々しく口を開ける。
「Yuriaさんの元恋人...卓也くんについて話があります」