誓~天才演技者達の恋~

「それが一番、残酷な気がしますが?」

「そうかも知れないね。
でも“ゆりあ”は、記憶を失っても演技をしている。

自ら選んでいる。
演技をしていく人生を...」


朱美は面白くないと言うように、彼女の演技を見つめる。

師羅は朱美の背中に向って、一言言った。


「天才を乱すのは構わない。今よりもいい縁演技が生まれる可能性がある。

でも、天才達を潰すなよ?
ぐちゃぐちゃに潰すと、元には戻せない」


朱美は、後ろから聞こえる師羅の言葉に頷いた。

編集長である鎌足は、いきなりYuriaに興味を持たなくなった。

だから、朱美は自分のスクープを他社に売ろうと思っている。


「私も潰したくありません。
結構スキなんですよ...彼女達の演技や彼らの演技」


白野百合亜はYuriaとして生きている。

その確信があるのに、雑誌にそのスクープを載せられない。

それは記者として辛いこと。


「私はすべてを掴んでから、編集長の前に出します。」

「キミが演技をしたら面白そうだ。
妥協をしない天才が生まれそうだね...」


師羅は笑いながらそう言うと、席を立った。

そして、朱美の横に座る。


「Yuriaは誰にも潰せないと思うよ。」

「えっ...?」

「潰せるのは、日比野卓也..一人だろうね」


朱美は師羅の言葉に首を傾ける。

キラキラと輝きを増している師羅の瞳。


「...芸能界の悪魔...それは記者だと思ってました」


朱美はそう言う。

師羅は「そうだよ」と言うが、朱美は首を振る。


「あなたは、天才を守ろうと見せかけている、大魔王です」

「.......」

「ハハハッ、大魔王..ね。
芸能界を知り尽くしている俺からすれば、つまらないの一言だよ。」
< 178 / 252 >

この作品をシェア

pagetop