誓~天才演技者達の恋~

迫る記者達の質問


朝の情報番組『朝キラッ☆』

早朝5:00からやっている、国民に一番親しまれている情報番組だ。

総合司会者である、小椋(オグラ)京一郎(キョウイチロウ)は、ストライプのスーツをビシッと決める。

小椋は二十歳の時に独立して、フリーアナウンサーになった。

若い時から有名だった小椋。

『朝キラッ☆』を任されたのは、つい二年前のこと。

視聴率も他局に負けたことなど無い。


「小椋京一郎さん。スタンバイお願いします」

「あいよ」


珈琲をテーブルに置き、簡単な台本を持つ。

すると、スタッフが簡単に今日の流れを話す。


「今日は、Yuriaの無期限休暇についての話題...それが中心になります」

「昨日、急遽発表されたんだってな...」

「はい。演戯祭の後に倒れたみたいです」


小椋はニッと笑うと、スタジオに入る。

スタッフは、背中に悪寒を感じながらも、小椋を見送る。


「今日はコメンテーターに、巻貝(マキガイ)誠司(セイジ)さんがいるなんて、驚きましたよ」


コメンテーター席に座る、巻貝という男。

芸能界のあらゆる噂を知っていて、記者たちと裏では組んでるという噂まである。


「巻貝さんがいるってことは、今日は荒れますね」

「小椋さんも失礼だな...ハハッ。
でもねぇ...面白いんですよ。この真っ黒な芸能界は」


巻貝はそう言うと、小椋に笑顔を見せる。


「今日から、朝キラッ☆の視聴率はうなぎ登りですよ。
小椋京一郎は、どんどん上に行くわけだ...」

「ッ.....!!」

「見下せますね。あなたが局アナだった時に、あなたを虐めていた上司、部下。
あなたは朝キラッ☆で、アナウンサーの頂点に立つ」


小椋の過去を、小さな声でサラッと言う巻貝。

司会者の机に置かれたペットボトルの水を、小椋は一気に飲み干す。


「小椋さん。あと5分で朝キラッ☆始まりますよ。
今までに無い情報を発信し、歴史に残る一日が...始まりますよ」


巻貝はそう言うと、テレビの顔になった。

小椋は台本を握り締める。

朝キラッ☆は、もうすぐで始まろうとしていた。
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