誓~天才演技者達の恋~
車の中では、百合亜は不安一色の顔。
「大丈夫か?百合亜」
「うん....ごめん、駄目みたいです。
女優さんになるのに失格だよォ...
卓也のことが気になって気になってしょうがないの」
隣に座っている母親は、百合亜の肩を抱いた。
百合亜もそれに体重を預ける。
父親はハンドルを握りながら「そうか」と一言。
「お父さん...お母さん...ありがとう。
私をこの世界に入れてくれて...
卓也の隣の家でありがとう。」
「.....百合亜。
卓也くんなら大丈夫だよ。百合亜が望んでいるようになるよ」
えっ?と口を開けていると、百合亜の母親も頷く。
百合亜の望んでいたことや夢に思っていたこと。
「卓也もこの世界に?」
「卓也くんならやりそうだろう?
しかも百合亜を通り越す俳優に」
百合亜は笑うと、外の景色を見る。
ちょうど明華学園の前を通り過ぎた。
「そうだね。負けてられないな!
いつか、日比野卓也と共演か...」
「高校は明華に行きなさいね、百合亜ちゃん。
明華もあなたを待っているわよ」
「そうかな...私よりもうーんと上手い子、たくさん居るんだろうな...
私が海外に行っている間にさ、いっぱい出てるの」
百合亜の話を笑いながら聞く両親。
百合亜はそんな二人を見て、笑いながら夢物語を話していた。
「それで卓也と結婚するの!
ビックカップルの登場よッ!!
それで男の子と女の子の子供がいてね...それで...」
百合亜は顔を真っ赤に染めながら、夢を膨らませた。