誓~天才演技者達の恋~
杏莉は絶句しながら、茉莉を睨む。
「ま、茉莉!?」
「お姉ちゃんだって、思ってるハズでしょう?」
「今言う事じゃないでしょう?」
百合亜は金槌で殴られたような感覚に陥る。
『卓也と一緒に』
「は、ハハハ」
「ゆりあ?」
百合亜は頭を抑えながら、改札口に向う。
「ちょっと待って百合亜!!」
「なんにも...果たせて無いじゃない」
ブツブツと呟きながら、百合亜はチケットを握り締める。
そしてクシャクシャのチケットを、駅員に見せた。
「待ちなさい、百合亜!?」
果歩と杏莉は叫ぶが、百合亜の耳には届いていないようだ。
杏莉は茉莉の頬を一回叩く。
「やめなさい、杏莉」
果歩は杏莉を叱り、茉莉を抱きしめる。
「叔母さんだって、分かってるハズでしょう?百合亜は今不安定なんだよ?なのに茉莉のせいで!!」
「しょうがないわよ。私だって思っていたことよ」
「....結局叔母さんは...昔百合亜を養女として迎え入れられなかった事、後悔してるだけじゃない...」
杏莉は胸の内を告白する。
果歩は、杏莉と茉莉から見て、母親の妹。
「叔母さんは、私達を育てようとさえしなかったくせに...どうして百合亜は、我が子のように大切にするの?」
「杏莉、誰かが聞いてたらどうするの?」
「!!!!そんなに可愛くない!?
家を捨てて、芸能プロダクションを継がなかった母の子が、そんなに憎い?」
「杏莉!!」
「果歩さんは嫌い。
たまにする叔母面が、超嫌い!!
それを知らない百合亜は、もっと嫌い!!」