誓~天才演技者達の恋~
二章,演戯祭とスクープ



何度挫折しようとしたか。

あいつは死んだんだ!!そう言い聞かせても、涙なんて出てこなかった。


そんな時、自信気しかないような女が現れた。

彼女は手を差し出すと、ニコリと笑った。


「私。
あなたと演技したいんだけど」


そう言った彼女は、頬をピンクに染めていた。


もう、何でも良かった。

百合亜は死んだんだから...いつまでも引きずってんじゃねぇーって。


でも立ってみたかった。

百合亜が笑顔で立っていた舞台に立ちたい。


だから俺は、この女の手をとった。


それが“偽りの愛”の始まりだとは知らずに。



それを後悔するとは知らずに。



by日比野卓也
< 35 / 252 >

この作品をシェア

pagetop