誓~天才演技者達の恋~
二章,演戯祭とスクープ
何度挫折しようとしたか。
あいつは死んだんだ!!そう言い聞かせても、涙なんて出てこなかった。
そんな時、自信気しかないような女が現れた。
彼女は手を差し出すと、ニコリと笑った。
「私。
あなたと演技したいんだけど」
そう言った彼女は、頬をピンクに染めていた。
もう、何でも良かった。
百合亜は死んだんだから...いつまでも引きずってんじゃねぇーって。
でも立ってみたかった。
百合亜が笑顔で立っていた舞台に立ちたい。
だから俺は、この女の手をとった。
それが“偽りの愛”の始まりだとは知らずに。
それを後悔するとは知らずに。
by日比野卓也