oneself 後編

限界

家に帰って来たあたしは、フーッと大きく息を吐き出しながら、ベッドに転がり込んだ。


あ、そうだ、携帯。


その体勢のまま、床に置いた鞄を探る。


そして、携帯を手に取り、何気に開いたあたしは、目を点にしながら、それを見つめていた。


不在着信 30件


そう、着信履歴が全て埋め尽くされた状態。


そして、1件のメールを開く。


「やっぱり僕を騙してたんだね。あの人がミライちゃんの彼氏なんだ?」


それを見た瞬間、背筋にスーッと冷たいものが走った。


今日の朝の光景を…


前田さんに見られてたんだ。


仕事が始まったのか、8時を過ぎてからは、連絡はピタリと止まっている。


でもこれを見れば、休憩時間や仕事が終わってからも、おそらく鬼のような連絡があるという事は、容易に予想出来る。


あたしはしばらく考えると、少しだけ震える指先で、携帯の電源を落とした。




布団を頭からすっぽりと被り、背中を丸める。


今日、前田さんはお店に来るだろうか。


そうなれば、間違いなく何かが起こる。


そんな事を考えているうちに、寝不足も手伝ってか、あたしは瞬く間に夢の中へと落ちていった。


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