oneself 後編
「今度いつバイト行くん?」


相変わらず低い声が耳元に届く。


「えっ?」


哲平はどういうつもりで、聞いてるんだろう。


続けていいの?


許してくれるの?


少しだけ期待が膨らむ。


翼は基本週に4回、月水金土と出勤していた。


あたしはそれに合わせて、次の出勤は水曜に、と考えていた。


それならバイト終わりに、哲平とも会える。


そうすれば家を空けるのが、一度で済むから。


「水曜かな」


少しだけ明るく答えたあたしに、哲平はゆっくりと言った。


「じゃあそれまでに時間作るから。ちゃんと話し合おう」


ちゃんと?


話し合ったら分かってくれるの?


「水曜に会うやん?」


「それじゃ遅いやろ」


低くて冷たい口調。


膨らんだ期待は、一気に萎んだ。


そこから伝わる、哲平の思い。


哲平は、あくまで反対なんだ。


何でそこまで。


自分もホストのくせに。


昼間と同じイライラが、あたしの胸に広がっていくのが分かった。


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