oneself 後編
鳴り止む事のない空調機の音だけが、響くこの部屋。
短い沈黙の後、哲平は少し明るめの声で、あたしの頭を撫でながら言った。
「未来の気持ちは、分かってるから」
それが、今の不安な気持ちを分かってくれたのか。
どうしても、仕事を続けたかった気持ちを分かってくれたのか。
分からないけれど。
何となく、それを追及するのはやめた。
「浮気すんなよ」
引き続き明るい声で、茶化すように、あたしの頭を軽くこづく哲平。
「うん」
哲平の心臓の音。
哲平に触れている温もり。
あたしはそれを噛み締めながら、深く頷いた。
「明日も早いのに、俺のせいでごめんな」
そう言って、ゆっくりとあたしから離れる哲平。
「大丈夫」
あたしはその体をもう一度引き寄せて、哲平の唇に、自分の唇を重ねた。
「哲平…」
「未来…」
折れそうなほどに抱き締める、腕の強さだとか。
触れ合った部分から伝わる、肌の熱さだとか。
それを必死に感じながら、あたしは哲平に抱かれた。
ねぇ、昔この部屋に来た時の事、あたし思い出したよ。
短い沈黙の後、哲平は少し明るめの声で、あたしの頭を撫でながら言った。
「未来の気持ちは、分かってるから」
それが、今の不安な気持ちを分かってくれたのか。
どうしても、仕事を続けたかった気持ちを分かってくれたのか。
分からないけれど。
何となく、それを追及するのはやめた。
「浮気すんなよ」
引き続き明るい声で、茶化すように、あたしの頭を軽くこづく哲平。
「うん」
哲平の心臓の音。
哲平に触れている温もり。
あたしはそれを噛み締めながら、深く頷いた。
「明日も早いのに、俺のせいでごめんな」
そう言って、ゆっくりとあたしから離れる哲平。
「大丈夫」
あたしはその体をもう一度引き寄せて、哲平の唇に、自分の唇を重ねた。
「哲平…」
「未来…」
折れそうなほどに抱き締める、腕の強さだとか。
触れ合った部分から伝わる、肌の熱さだとか。
それを必死に感じながら、あたしは哲平に抱かれた。
ねぇ、昔この部屋に来た時の事、あたし思い出したよ。