†危険な男†〜甘く苦い恋心〜
「死んでよ」
「……は…?」
義父はガタガタと震えながら、あたしをただ見つめる。
「死んでって言ってんだよ。お前みたいなカスは…生きてる価値なんてない!!」
あたしは自分でも驚くくらい、大声で義父を罵った。
でも…そんなくらいじゃ、あたしの5年間の傷は埋まらない。
この心の傷は…きっと一生治ることはない。
「あんたのせいでっ…あたしは自分を見失った!あんたのせいでっ……あたしは生きることさえ辛くなった!!」
「……っ…!」
気付けばあたしは涙を流していた。
こんなに感情的になるなんて思わなかった。
あたしの中にこんな激しい感情があったなんて…
初めて知った。
「じゅ、樹里…すまなかった……」
「知らねぇよ。マジで謝れば済まされるとでも思ったワケ?」
あたしは床に倒れている義父に近付いた。
義父は“ひっ!”と悲鳴を上げ、後ずさる。
ふっ…。
5年前はあんなに堂々としてたくせに。
なんなのよ、この態度は。
あたしが警察だから?
SATだから?
怯えちゃってんの?
あたしは上着のポケットを探る。
これがあれば…あたしはコイツを殺れる。
あたしが出したのは銃だった。