最後の恋


「俺は真剣に付き合ってるで。もちろん、いつかは莉奈さんと結婚したいと思ってるし。まだ付き合ったばっかりやけど、真面目に将来のことは考えてるつもりやねん」


椎名はそう言うと、私をそっと抱きしめた。


「ありがとう…嬉しい。でも…」

「でも?」

「正直言うと、嬉しいだけじゃない…椎名のその気持ちが、これから先ずっと続くのか不安なんだ」

「何で?」

「私は椎名より6歳も上なんだよ?若い子から見たらおばさんって思われ始めるぐらいの年齢だよ?椎名より早く歳をとるし…老けていく」

「そんなん関係ないって!」

「関係なくないよ…今はよくても、いつかは嫌になるかもしれない」

「そんなん分からんやん!ならへんって、絶対」


ねぇ椎名。

絶対なんて、本当にある?

私には自信がない。そう思いたくても、思えない。椎名には分からないよ…だってあなたはまだ若い。

人生もこれからみたいなもの。


これから先、きっとたくさんの人に出会う。

出会って、変わっていく。


私もそうだった。

ずっと一緒にいようとか、絶対いつか結婚しようね、とか。

今まで誰かと付き合うたびにそんなことを口にしたり思ったりしていた。



だけど、ずっとも絶対も…そんなものは消えてしまう。

叶うこともなく、消えてしまった。


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