最後の恋



大人になると、簡単なことが簡単じゃなくなっていく。

好きだって思う気持ちが全てなはずなのに…いつからか、それだけではいけなくなっていて。


好きなのに…

こんなにも好きなのに…

大切なのに…

一緒にいたいのに…



ごめんね…椎名。


私、紹介したい人がいるって連絡をしただけであんなにも喜んでいるお母さんやお父さんを、もうがっかりさせられない。


受けてしまったサトルからのプロポーズも、リセットすることは…もう出来ないよ…



泣きながら、小さくなっていく背中を見つめ続けた。


そしてその背中が見えなくなった時、

私は自分の心に鍵をかけた。


心の中に、椎名への想いをしまった。


私達の、本当のサヨナラの瞬間だった。



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