ハニートースト ~カフェで恋したあなた~



「大丈夫?」




「ああ、別にたいしたことじゃないんだけど、自分で自分が情けなくなった。俺ってこの仕事向いてねーんじゃないのか、とか・・・・・・やっぱり絵が描きたいとか、そんなバッカみたいなこと考えてて」




「バカみたいなんかじゃない!!」





大声を出してしまった。



だって、絵を描きたいと思うのは全然バカみたいじゃない。




私は知ってるから。



片桐さんがどれだけ絵が好きか。






「優海ちゃん・・・・・・」





画家になる夢をずっとずっと持ち続けて欲しいと思った。




片桐さんから、絵が描きたいって言葉が聞けて、今嬉しかったんだもん。






「だって、片桐さんの夢でしょ?絵を描くことは。だから、バカみたいじゃない・・・・・・と思う」




「はは。ありがとな。そうだよな。夢は持ち続けていいんだもんな」




「そうだよ!それに、仕事で失敗して落ち込むのも素敵だと思う!失敗しても平気な人だっているもん。反省して、また次につなげればいいんだもん」






あまりの勢いに、片桐さんは苦笑いを浮かべながら言った。




「優海ちゃんも大人になったんだな」




「もうとっくに大人だもん」




片桐さんは、ごめんごめんと言って、眉を下げた。







< 32 / 300 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop