それでも世界はまわる -いつかの夢-
りおんは何も言わず振り向き、じっと見つめてくる。

彼の純粋な目に映るのが心苦しくなり、うつむいた。それでもお互いだんまりのまま。

やがてもう一度鞄を探り、両手で包装を覆うようにチョコを突きつける。

「それ・・・」

りおんはぽかんとしている様子。
しかし確認することはできない、下を向いたままだ。

「うちのなんか、形もぐっちゃだし、味もなんか混ざっとるし・・・ラッピングすら綺麗にできんくて・・・」

「美佳、好きだよ」

心地良いトーンで遮る。

「これはこれで可愛いじゃん。つか、僕今日これが一番嬉しいし、絶対これが一番美味しい」

また涙腺がゆるんできたので、ばれないよう、胸にもたれかかった。
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