カラス君と黒猫さん
■カラス君と黒猫さん










□ □ □



俺の黒猫さんは現在、真上を見ながら歩いている。


“転ぶよ”と言ったら俺の腕を掴み始める黒猫さんには癒される他ない。




「カラス君、」

「ん」

「勿体無いよ」

「何が?」



朝8時。


丁度、学生やサラリーマンが会社や学校に行こうとしている時間。
人混みの横断歩道、上を向いて歩いている黒猫さんは異様だ。




「空、久し振りに晴れてる。けど、建物が邪魔してよく見えない」

「あぁ、今日の空綺麗だね」



俺も上を見上げる。



何も拒まない、水色の空。

雲が東の方に少しあるだけで、あとは真っ青。




「綺麗だね」

「うん」



二人して、真上を見ながら歩いている所は誰がどう見ても異質だ。



けど、黒猫さんと付き合ってからは、もうそんなことどうでもよくなってきた。






< 219 / 223 >

この作品をシェア

pagetop