問題山積み
左手で光るエンゲージリングを突き返して、「ごめんなさい」と涙を見せて、涼平には大地のことを一生隠し通して、それで…。
そこまで考えて、私は歩く足を止めた。
「…涼平を責める権利は、ないか…」
当然のことに、やっと気付いた。
私のやっていたことは涼平のそれと同じで、いや寧ろ私の方が酷すぎる。
要領の悪い涼平の方が先にばれてしまっただけで、私だって涼平と同じ立場になっていたのかもしれない。
掌を痛めたのが涼平で、頬を痛めたのが私だったとしても、おかしくはない。
運が良く、涼平にも大地にもばれなかっただけだ。
私が佇む住宅街、どこからか味噌汁の匂いがした。
私も、いつか旦那と子供と食卓を囲むんだ。
その光景を、涼平に当て込んでいつも想像していた。
大地とは、きっと叶わない未来。
でも、これで涼平とも叶わなくなってしまった。
そこまで考えて、私は歩く足を止めた。
「…涼平を責める権利は、ないか…」
当然のことに、やっと気付いた。
私のやっていたことは涼平のそれと同じで、いや寧ろ私の方が酷すぎる。
要領の悪い涼平の方が先にばれてしまっただけで、私だって涼平と同じ立場になっていたのかもしれない。
掌を痛めたのが涼平で、頬を痛めたのが私だったとしても、おかしくはない。
運が良く、涼平にも大地にもばれなかっただけだ。
私が佇む住宅街、どこからか味噌汁の匂いがした。
私も、いつか旦那と子供と食卓を囲むんだ。
その光景を、涼平に当て込んでいつも想像していた。
大地とは、きっと叶わない未来。
でも、これで涼平とも叶わなくなってしまった。