問題山積み
だから、要らない



「一葉(かずは)、今日合コン行くー?」


一番後ろの席に座る奈々(なな)の大きい声が、教室中に響き渡った。
だけど、誰も気にしちゃいない。
なぜなら、皆、同じような種族だから。
そして、私も一番前の席から声を張り上げる訳で。


「今日はパス!一昨日も行ったしさ」

「マジ?それ正気?相手はT社のエリートだよ!当然あっちの奢りだしっ」


私の返事に、つかつかとヒールの音を立てて奈々がやってきた。
品がないなあと、人事のように思う。
それもお互い様です。
私はノートを鞄にしまいながら、


「じゃあ行くわ」


あっさり返事を変更。


「やったあ!じゃ、5限の後、校門で待ってるから」


太めのコテで巻いた奈々のくりくりした長い髪が、ぷるんと揺れた。
清楚ぶっている外見の内側は、その正反対のものがぎゅっと詰まっている。
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