問題山積み
蝶よ花よ
男の子より綺麗な女の子は沢山いる。
女の子より綺麗な男の子は沢山いる。
平成のこの世の中、ジェンダーなんて最早意味を為さない。
そう常日頃考えてしまうのは、私の仕事が「男の子」だからでしょうか。














深夜0時から2時の間、“私”は“俺”になる。
そして、“歩(あゆみ)”から“碧(あおい)”に名前を変える。
パソコンを起動して、ブックマークされているサイトの一番上をクリック。
ログイン、VIPルーム、ハロー姫君達。
そこで俺を待っている子は、本日一人。
ハンドルネームは「菫(すみれ)」。最近よくここで俺を指名する子だ。


『碧、こんばんは!』


俺がそのチャットルームに入るなり、待っていましたと言わんばかりに飛び込む菫の一文。
それに応えるべく、俺も素早くタイピングする。


『お待たせ!』

『碧、昨日はここに来なかったねー』

『昨日は仕事。ごめんな』

『ううん。お疲れ様』


まるで本当に会話しているかのような、スムーズすぎるやりとり。
< 55 / 204 >

この作品をシェア

pagetop