L×L
恋の始まり 嘘の味
「矢澤ー。お前、2組の秋本さんフッたってマジかよ?」


「うーん…。喋ったことないし、あんま興味わかなかったし」


「あんなカワイイ子をもったいねー。さすがモテ男は違うよな?」


「俺、本気で人のこと好きになったことってまだないし、分かんないんだよね」


「矢澤…。お前、真顔でありえねぇ嘘つくなっつーの。あっ、俺予習終わってないんだった。じゃ、続きはあとで話そーぜ」


「嘘…か。ねぇ、萩原」


「えっ?あっ…何ですか?」


「萩原は俺が誰かを好きになったことないって言ったら嘘だと思う?」


「はい…?よく意味分かんないですけど…。矢澤くんが本当って言うなら本当なんじゃないですか?」


「さっすがー。頭イイ子はいいこと言うね」


「でも…。でも、それが本当だったとしても相手に信じてもらえなければそれはただの嘘になりますよね」



あのセリフを俺は一言一句違えずに覚えてる。



『あたしは信じないよ』



だから、あの日のことはただの嘘になったんだ…。
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