ハーレム ブラッド
食後


引越業者が荷物をトラックに運び終えた。

「俺たちも行くか。

咲子、案内しろ。」

「嫌です。」

「は?

お前が案内してくれないと俺は場所を知らんのだが…」

「私はお腹が減りました。」

「朝食はさっき食っただろ?」

「血液の話です。」


「…わかった。

と言うとでも思ったか!


親父なら知ってるだろ。

住所さえ聞けば住み慣れた街だし、徒歩で行ける場所だから簡単にわかる。」


「中々やりますね。」






新居


「荷物はこれだけですか…

少ないですね。」

「まぁな。

漫画とかは置いてきたからな。」

「そうですか。」

「つーかお前の荷物は?」

「もともとありません。

身寄りのない家出少女なので。」


「そうか…

ところで、布団が一組しかないのはなぜだ?」

幸大が荷物整理の手を止めた。

「本気で聞いてるんですか?」

「俺は嫌な現実から目を逸らす人間だからな。」



スッ…

咲子が近づき、耳元で囁く。

「私と一緒に寝るからです…」

「…。」

幸大が固まる。

「いただきます。」

かぷっ…


噛みついてすぐに離れた。


「何で吸えないんですか?」

「その前に…噛みつかれたら痛いんだけど…

謝れよ。」


「血をくれたら考えます。」
< 37 / 500 >

この作品をシェア

pagetop