ハーレム ブラッド
そして…


「残りはあんただけだな…」

幸大が言う。


「た、助けてください!

王よ…私はあなたを…想い、敬愛していた

あなたの力を世界に知らしめたく…」


『余は…ヴァンだ。

名も無き吸血鬼の王などもうこの世にはおらぬ。』

「そんな…」

『もし…そんな王が居たとしたなら…其奴には自由を与えてやってほしい。


王など…富も権力も自由に使えない…

周囲の人間に支配された存在だ。


そんな王が人間や吸血鬼を支配するなどできんのだよ。』


「王よ…

ああ…」

落胆し座り込む男の横を皆が通りすぎた。





『ふむ…

外に出れたな。』

ヴァンは幸大の近くで拳ほどの大きさで浮いていた。

「では…私はVAPに連絡しますので。

あとは我々にお任せを。」

榊パパはそう言って電話を掛けながら皆の輪から離れた。


『久しいな…シルヴィス。』

ヴァンが言う。

「あら?

覚えていたの?」

ダリシスが言う。

「おばあちゃん、知り合いなの?」

クーニャが言う。


『今から130年くらい前に、な。


私を初めて振った女性だ。

私が断られたのは後にも先にもそなただけだ、ダリア・シルヴィス。』


「ふふっ…

ヴァン、あなたは吸血鬼の王ではないんでしょう?

なら初対面だわ。

それに、今はダリシスという名前よ。


さて…疲れたから帰るわ。


岡田さん…あなたとはまた会いたいわ。」

ちゅっ。

ダリシスが幸大父の頬にキスをして立ち去った。
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