ハーレム ブラッド
「ヴァン…」

『余の子供を側室たちは次々と産んだが…余は愛せなかった。

自分の子ではなく…儀式の結果、と言う事象にしか見えなかった。

愛せなかったのだぞ?

我が子が…だ。』

「何が言いたいんだよ…」

マリアが言う。

『そうやって産まれた子供は誰1人、黄金の眼は持たなかった。

王の後継者は居なかったのだ…


その時に余は悟った。

婚礼はせども…結婚はしなかったのだ、と。

余は、誰とも結ばれなかった。』

「悪いけど…私は頭が悪いんだよ…

解るように言えよ…」

マリアが力無く言う。


『結婚だの婚礼などは儀式に過ぎない。

今の時代は婚姻届というモノを提出することで誰もが夫婦になれるのであろう?


例え…嫌いな者同士でも。

儀式とは…中身があろうとなかろうとも…関係の無いものだ。

必要なのは形式だけ。



幸大が指輪を渡したのも…儀式のための形式だ。


そこに好きと言う感情がなくとも成り立つ関係だ。


結婚さえも…愛さえ必要ない。

その届け出をするだけの形式であり儀式だ。


そんな中身があろうとなかろうとも関係ないモノに覚悟など要らぬ。


儀式が終わっても何も変わらぬ。』
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