木漏れ日から見詰めて

3.別れと自立

 彼が学校を去る日の放課後、私は教室でずっと待っていた。

 夕陽に校舎が照らされ、影が細長くなった頃、彼が私のところへやってきた。

「紺野さん、ごめんね」
 彼がひと言だけ謝った。

 謝らなければいけないのは私の方なのに彼のやさしさに胸が詰まり、言葉が出てこない。

 衝動的に抱きついてしまった。

 頭を撫でられた気はするけれどあまりよく覚えていない。

 他の生徒に見られなかったのは神様からプレゼントされた2人だけの時間なのかもしれない。

 彼のいない学校なんて行く価値がなかった。

 家でただボォーとしていると母親が「学校に行かないなら働きな!」と脅しをかけてきた。

「わかった」

 私は近所のスーパーでレジのバイトをはじめた。

 思いのほかうまくこなせた。
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