彼は、理想の tall man~first season~

「では、村岡にそう伝えておきます」

笑ってそう受け応えすると、小林部長は満足気で、くれぐれもよろしくと笑った。


それから少しの談笑を終えて、私は円山商事を後にした。


円山商事が見えなくなった場所まで移動した後、村岡部長に電話を入れ――。

すると、早速小林部長からお礼の電話があったと知らされた。

「お疲れさま、本当にありがとうね」

村岡部長からもそう言ってもらえて、私は晴れてそのまま直帰となった。


うちの営業の内勤は、会社の中にいてメールや電話やFAX等で応対する営業。

今、直販の営業がそれらも行っている状況だけど――私がやることになるかも知れないのか。

事務職に徹していた時よりも、お客様との関わりが増えて、キャリアアップにも繋がる。

会社へも直接的な売上の貢献が出来るし。

私は、悪くないなと思いながら最寄り駅まで向かった。

そして電車に乗ると、スーツ姿の社会人より、圧倒的に学生服が勝っていて。

その学生服姿の多分高校生からジロジロと視線を感じた。

慣れた視線ではあるけれど、居心地の悪さは感じる。

全く、どいつもこいつも、人を見てコソコソと。
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