彼は、理想の tall man~first season~

「俺と、付き合ってみない?」


「――はい」


昨日も言って貰ったその問い。

昨日は有耶無耶に終わったその話。


「ぇ・・・・・・あれ?」


だけど、私は後先考えず、『はい』と決着を着けてたようだ。

それには、自分でも驚いていたのだけれど。

私と同様、中條氏も驚いていたみたいで――。


「いいの?」


逆に聞き返されてしまった。

急に声を出すのが恥ずかしくなって、黙ってコクコク頷く私。


自分でも信じられない反応をしていた私は、次の瞬間――念願だった理想の背格好の中條氏から、軽くではあったけど、抱きしめられていた。


自分の頭の上に、中條氏の頭があることに感動中の私。

ゆっくり離れた中條氏を見上げると、彼は――よろしくと爽やかに言い。

私の顔を熱くさせ、私の心をも熱くさせた。


『好機逸すべからず』

いつかの尚輝の言葉が、信じられないけれど、逸さずに、掴めてしまったみたいだ。
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